アドラー心理学の問題行動5段階について考える

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アドラー心理学では優越性の欲求(特別に思われたい気持ち)からくる問題行動が5段階に分けて定義されています。

今回は岸見 一郎さん、古賀 史健さん著の『幸せになる勇気』を参考に各問題行動についてまとめていきます。

アドラー心理学問題行動の5段階

アドラー心理学によると問題行動は次の5段階があります。

レベル1:称賛の要求
いい子を演じて褒めてもらおうとする

レベル2:注目喚起
良いことでも悪いことでもいいから目立とうとする

レベル3:権力争い
他人を挑発・反抗を繰り返すことによって勝利を得て自らの力を誇示しようとする

レベル4:復讐
相手が嫌がることを繰り返す。自傷行為やストーカー行為等

レベル5:無能の証明
すべてを諦めて自分が無能であることを証明しようとする

中にはずっと同じ段階に留まっている人もいますが、基本的に各段階でうまく欲求が満たされないと次の段階に進むようになっています。

称賛の要求

良いことをして他人に褒められようとすることです。これだけだと何の問題もなさそうですが、問題行動はこの段階からすでに始まっています。

他人に褒めてもらおうと行動することは決して善いことではありません。なぜなら褒めてくれる人がいなくなると行動しなくなってしまうからです。

称賛の欲求からくる良い行動はあくまでも見返りを期待してのものです。本当に良心からくる行動ならば見返りは関係ありません。

アドラー心理学では称賛の要求を育てないようにするために子供を褒めないことを大切にしています。

称賛の要求を求めていくと自分が生きたい人生ではなく他人の人生を歩まされることになりかねないからです。

注目喚起

良いことをして他人に褒められるのにも能力が必要です。相手が望むことを理解していないといけませんし、それでも相手がいつも期待通りに褒めてくれるとは限りません。

そこで他人に褒められるのに苦労した人はこの段階に進みます。

注目喚起の段階では、褒められることではなく目立つ(=関心を集める)ことを第一目標にします。

自分が目立っていると感じている間は自分が特別だという感情を持てるからです。

もちろん目立っているのは何か目立つ行動を起こしている間だけで、同じことをしていても飽きられてしまうので行動は次第に過激になっていきます。

権力争い

注目がうまく得られなくなると戦いに勝利することで特別感を得ようとします。

この段階では積極的に他人に戦いを仕掛けていき、人の迷惑を考えずに勝利を貪欲に求めます。

戦い方は正々堂々としたものが多いので、場合によっては他の人に認められることもあります。

復讐

この段階まで来ると明らかに常人じゃない感じが出てきます。本人は誰からも理解されない自分に特別感を感じています。

勝利とかはもうどうでもよく相手が嫌がることを繰り返すので、普通は誰からも認められることはありません。

権力争いでは戦いを求め勝利してこそ欲求が満たされていましたが、復讐の段階まで来ると相手が嫌な気持ちになるだけで欲求は満たされます。

アドラー心理学ではこの段階からは専門家の助けが必要と述べています。

無能の証明

これ以上自分が傷つかないために自分自身の評価を最低限まで下げます。

それまで外に向いていた攻撃性も内に向くようになります。

これまでの自分の体験をもとに、今の無能な自分がふさわしいのだと固定観念にとらわれます。

希望を持つと辛い思いをすると決めつけているので希望を持つことはありません。

問題行動を起こさないためにはどうすれば良いのか

繰り返しになりますがこの問題行動はどれも特別な自分でいたいがために起こります。

なぜ特別な自分になりたいかというと普通の自分には価値がないと思いこんでしまうからなのです。

ですが普通にしてる人のほうがよっぽど魅力的だったりします。

特別な自分じゃなくても自分で自分を認めてあげられるようにする気持ちこそが大事です。

まとめ

今回はアドラー心理学の問題行動の5段階について解説しました。

自分の普段の行いがこの問題行動に当てはまらないか、冷静に自分を客観視すると道を外れて不幸になることはないんじゃないかと思います。